今話題のアスベスト(石綿)問題。住宅にも数多く使用されています。
アスベストは天然に広く産出される鉱物で、溶岩が冷えて固まるうちに形成され、主成分はケイ酸マグネシウム塩です。低コストで、酸やアルカリにも強く、燃えないので、工業界で広く扱われていました。
住宅など建設業界では、断熱材や防音材、不燃材として多く使用されていました。

しかし、健康被害への影響があることから、少しずつ使用は制限されていましたが、今日に至るまで、全面禁止にはなっていませんでした。数十年前くらいからヨーロッパ各国では、全面禁止になっていたにも関わらず、なぜ、日本では全面禁止にならなかったのかが大きな問題です。
国民への健康被害よりも、工業界の営利優先を重視したことが、こういう結果につながったと考えます。各企業や工業団体等の政界への圧力が、アスベスト全面禁止を遅らせたのです。今後、さらにアスベスト被害は拡大すると予測されています。アスベスト製品を多く含んだ住宅やビルの解体は、20〜30年後にピークを迎えるといわれています。この状況を、当時の団体や企業の幹部連中は痛感すべきです。

当然ながら、私も建築の現場において、アスベスト製品に遭遇することがあります。以前はさほど気にしなかった製品に、自分自身や作業員への安全面から、最近では取扱にとても躊躇してしまいます。今後も、リフォーム工事の解体時には、こうした問題に直面するはずです。民間レベルでの対応だけでは、かなり難しい面がありますので、早急に対策が講じられる事を強く願います。