ライオンズマンションでおなじみのマンション分譲大手「大京」が、2000年から2002年にかけて分譲販売した大阪市北区の「ライオンズマンション」(95戸)に住む20世帯46人が「建材の化学物質が原因でシックハウス症候群になった」として、同社など3社を相手に約3億円の損害賠償を求めた訴訟は9/11日、被告側が解決金を支払うことで大阪地裁(小久保孝雄裁判長)で和解が成立しました。原告弁護団によると、シックハウス被害を巡る集団訴訟の和解は全国で初めてということ。

欠陥住宅関西ネットの事務局長である、田中厚、原告弁護団長は「シックハウス対策が盛り込まれた03年の改正建築基準法施行前の被害が救済された勝利的和解で、意義は大きい。改正法施行後もシックハウス被害は多発しており、この和解を機に救済が進むことを期待したい」としています。

他の被告はマンションの施工業者である準大手ゼネコン「大末建設」(大阪市)と、建材を製造した「ブリヂストン」(東京都)。訴状によると、46人は入居後、まもなく頭痛やめまいなどを訴え、38人が専門病院で「シックハウス症候群による健康被害」と診断されていました。

大京側が2002年7月に実施した空気測定の結果、大半の部屋で同症候群の原因物質とされるホルムアルデヒドの濃度が、厚生労働省の指針値(0.08ppm)を上回り、原告らの部屋の平均値は約2倍に達していました。その後の調査で、改正建築基準法で使用禁止となった建材が床下に使われていたことが判明。原告のうち症状が悪化した2世帯3人が転居を余儀なくされ、4世帯は自費で部屋をリフォームしていました。

原告側は2004年1月、リフォーム費用や治療費、慰謝料などを求めて提訴。被告側は「被害の予見可能性はなく、改正法施行前の建築で法的責任はない」などと反論したが、今年8月、同地裁が和解勧告していました。

和解後、同地裁内で会見した原告代表の男性は、「2年半の裁判は精神的、体力的にもつらかった。裁判中に発症した住民もおり、被告側にはもっと早く対応してほしかった」と話しました。大京グループ側は、「裁判の長期化は双方にとって望ましくなく、購入者の経済的負担などを考慮して和解に応じた」と述べました。

シックハウス訴訟では、シックハウス症候群発症の原因が、住宅建材や内装材であるという特定が困難で、住人が持ち込んだ家具やインテリアが、揮発性物質濃度を高めている可能性もあり、施工業者や製造メーカーへ責任追及が難しい問題なのです。また、同じ建物の住人であっても、発症する人としない人など個人差があるため、医師の診断結果が下し難いという一面もあり、業者が対応しないということが多いのです。